山本文緒さん、初読みでした。
最近お亡くなりになったことは知っていた。
だからなんとなくもっと年齢が上の方だと思っていたのに、小説の内容を読んでその瑞々しさにあれ?って思って調べたらまだ50代だったなんて。若すぎる!
この物語の30代の主人公たちの「漠然とした不安」のリアルさが新鮮だった。
身も世もなく恋に落ちて、絶対この人と結婚したい!
そんな相手と出会える人なんてきっと少数派だから
付き合ってる相手が本当に結婚していい相手なのか決めかねる。
いい人だと思うけどときめきはしない。
今時こんなこと大きな声では言えないけど学歴と収入が低い。
それでも結婚に向かうべき?!
それは悩むだろうなぁ。
私は個人的には結婚する時に迷うってことはなくて。
別に好きすぎてこの人しかいない、と思ったわけでもないし
収入とか将来性が激アツだったわけでもないんだけど。
いろんな人と付き合った結果、この人であろうと特に悩まなかった。
でも子供のこととか、この時代で大した能力もなくて生きていかなくちゃいけない現実とか人ごとじゃないよねぇととても共感した。
まぁでも私は資産形成だけはスタートが早くて、
それだけは将来の不安を軽減できてる分偉かったと思う。
それから後半の被災地ボランティアにいくくだりは、
ちょうど今能登半島地震ボランティア問題と重なって考えさせられた。
恋人のしていたことをやってみたいという追体験で震災後のお片付けのボランティアに行って、たいして役にも立たず凹んで帰ってくるところ、
ちょうどやってみたいと興味持っていた私としては、確実に実行した後の私だなと
かなりリアルに想像できてしまった。
でも改めて私だって誰かの役に立ちたいんだあ!って思った。
そして究極的にはさまざまな悩みを飲み込んで若者たちは生きていくし、
思い通りにはならないけどなんとかなるんだよってメッセージに思えた。
もちろん完璧なハッピーエンドなんてないしね。
山本文緒さんの本、まだまだ読みたいと思うと同時にご存命の時に出会えなかったことが悔やまれる。
ご冥福をお祈りしつつも、もっと追っかけたかったって地団駄を踏みたい気分。